持ってきたジャガイモはエイルと半分ずつ食べる予定だったが、マナの食欲が止まることはない。その為、瞬く間のうちにジャガイモが無くなっていく。予想外の食欲に、エイルは唖然となってしまう。まさか、これほど食欲があったとは……しかし、それはそれで可愛かった。
「美味しかった?」
「あっ! ぜ、全部……」
「いいよ。マナが満腹になったのなら、それでいいから。どんな理由があるか知らないけど、毎日食べないと」
「……はい」
これだけの食欲があるということは、ただの「小食」というわけでもない。だが、メイド達との約束があるので、理由を聞くことはしない。ただ、倒れない程度に食事をするように言う。
エイルにとってマナは話し易い相手と同時に、ついつい構ってしまう相手。その為か小言も言い、シッカリとした毎日を送ってほしいと思う。勿論、その気持ちはマナに伝わった。
彼女は嬉しそうに頷くと、一言礼を言う。
その素直さに今度は、エイルが嬉しそうに頷いた。
「そうだ。勉強の続きをしようか」
「宜しくお願いします」
「えーっと、何処まで教えたかな」
「歴史です」
「ああ、そうだった。じゃあ、復習の為に最初から」
エイルは開いている椅子にマナを座らせると、大陸全体の歴史について語っていく。中には難しい言葉も含まれていたが、マナは目を輝かせ聞いていった。大陸全体のことを詳しく知らない彼女にとって、エイルが語る内容は空想を膨らませるに十分な効果を持ち、新しい想像を生み出す。
その為、途中で何度も質問を行う。
一方のエイルは嫌な顔ひとつせずに、質問に答えていく。そして、楽しい時間を過ごしていった。