その為、小食で済ませようと思っていた。しかし真相を知らないジャネットは、沢山の食べ物を食べさせようと計画する。
嬉しい反面、迷惑。
ただ、苦笑いを浮かべるしかない。
◇◆◇◆◇◆
昼食は必死の言い訳を繰り返したことにより、一定の量以上の食べ物を食べずに済んだ。滅多に言い訳をしないマナにとって今回の出来事は肉体と精神の両方を削るが、頑張った甲斐はあった。
今マナは、茹でたジャガイモが乗った皿を持っている。そしてもう片方の手で、大量のバターが乗った皿を持つ。
彼女が向かう場所は、決まっていた。それは「ジャガイモを一緒に食べよう」と約束したエイルの私室。彼の私室の前に到着すると扉をノックし、オドオドとした態度で入室していく。
「あの……持って参りました」
「うん? ああ、有難う」
「お、お声が……」
「父さんとの会話の途中、出せるようになったんだ。それより、早かったね。ジャガイモだけど」
「いけませんでしたか?」
「いや、いいよ。僕も、早く食べたかったし。ジャガイモとバターは、美味しいんだよ。マナも気に入るよ」
エイルの言葉と裏腹に、マナの顔色が明らかに悪かった。エイルはあのように言い喜んでいるが、マナにとってはジャガイモを持って来るタイミングを間違えてしまっていた。マナは「エイルと一緒にジャガイモを食べたい」という私情で動いた結果、今の状況を作ってしまった。
顔を紅潮しつつ、タイミングを誤ったことを詫びる。一方エイルは、何故詫びの言葉を言うのか理解できなかった。
別に、悪いことはしていない。
だというのに、マナはへこんでしまっている。それに、何度も謝り暗いオーラを放っている。
エイルは奪い取るように二つの皿を受け取ると、サイドテーブルに皿を置く。続いて、ジャガイモの表面にたっぷりのバターを塗ると、落ち込んでいるマナの口の中にジャガイモを躊躇なく突っ込む。それはまるで、ジャガイモの皮むきの時と再現を行っているかのようであった。


