それにこれ以上の詮索は無意味。そのように考えたジャネットは詮索を止めると、マナに雑巾の使用方法を教えていく。それは、一言で説明すれば簡単な方法だった。雑巾で床を拭く。
ただ、それだけであった。
その方法に、マナは首を傾げてしまう。それであったら、教えてもらうほどでもない。しかしその先が重要だった。
廊下は、モップだけで綺麗にならない。どうしても、隅に埃が溜まってしまう。それを雑巾で拭き綺麗にしていく為に、雑巾が必要だという。そのジャネットの説明に、マナは納得し頷き返す。
「わかったわ。有難う」
「じゃあ、私が雑巾で拭くわ」
「うん」
元気よく返事を返すと、仲良く仕事をしていく。マナがモップで綺麗に床を拭き、続いてジャネットが雑巾で隅を拭く。二人とも丁寧に掃除を行っているので、拭き終わった場所は光り輝いていた。
そして、数十分後――
掃除が終了した。
「綺麗」
「これくらい、やらないとね」
「ジェネットとの仕事は、久し振り」
「そうだったかしら」
「そうよ。だから、嬉しかった」
クスクスと笑うマナに、ジャネットも釣られて笑う。仲のいい二人の笑い声が廊下に響くが、一瞬にして止まった。そう、掃除が終わったら昼食を食べに行かないといけない。それを思い出したジャネットは早く掃除用具を片付けようと促し、マナの背中を強く押した。
「い、痛い」
「御免。でも、早く行きましょ」
「ジャネットって、食べるのが好きよね」
「勿論! 美味しい食べ物を食べると、元気が出るもの。マナも、美味しい物を沢山食べないと」
「う、うん」
何か問題を抱えているのか、言葉の歯切れが悪い。普段、マナは小食なので見兼ねたジャネットが多くの食物を食べさせようとしているが、今大量の食物を摂取するわけにはいかない。それは、エイルから手渡された手紙が関係していた。「一緒に、じゃがいもを食べよう」そのように書かれていたのだ。


