「墓参り、行くか?」
「誰の?」
「王家……だ」
一定の音量で語る言葉に、反射的に食い付く。
王家の墓参り。
何故。
エイルは、首を傾げるしかできなかった。
そもそも、簡単に行ける場所ではない。王家の墓はエメリスを祭っている大神殿の地下にあり、其処へ行くには大神官オルデランの許可が必要だ。しかし、フレイは「大丈夫だ」と言う。
オルデランも味方の一人。
また、最大級の協力者。
多少の都合は容認してくれるというが、今回は「多少」の言葉で片付けられる内容ではない。
でも――
父親が「大丈夫」と言うと、何故か本当に大丈夫だと思ってしまう。それだけ力強く、信頼感があった。だからこそ今でも絶大な影響力を持ち、敵側が動向を気にしているだけある。
味方という理由だけで、容認してくれるのではない。これもまた、一族の名前と立場が深く関係している。
報告と宣言。
正しい理由は、此方だった。
バゼラード一族は、初代国王が王位に就いた時より側にいた一族。当時から守護の任に就き、役割を果していた。特別――いや、そのような簡単の言葉で片付けていい関係ではない。
だからこそエイルが親衛隊の一員になったことを報告し、その身が壊れようが王家を守護していくと宣言する。
代々続く血の縛り。
だが、苦痛をもらすことはしない。産まれた時点で、そのことは認識していた。途中反抗に似た行為を取ったが、このように受け入れ親衛隊の一員に加わる。やはり、血には逆らえなかった。
同時に「怖い」という感情が湧き出る。
別に王族の幽霊に恐怖心を抱いているのではなく、自分自身を受け入れてくれるか心配だった。彼等に不束者と言われ幽霊に罵倒されたら、いい噂のネタになってしまう。また他に、様々な要因が入り混じり絡み付く。と言って、愚痴を言い行くことを拒む権利は持っていない。


