額に汗が滲む。
現役を離れてこの迫力は、半端ではない。
同時に、疑問が湧く。
何故、引退したか――
しかし、フレイの動向と言動を考えていくと、自ずと回答を導き出すことが可能であった。
親衛隊の隊長では、自由に動けない。
勿論、今も自由に動けているわけではないが、隊長時代よりはいいだろう。だからこそ、隊長の地位を降りた。
腰痛の影響で――
その理由は、建前上。
本音は違う。
父親の真意を見抜いたエイルは、自身の考えを口にする。すると回答が正しかったのか、フレイの表情が微かに変化する。
「気付いていたか」
「予想です」
「いや、正解だ」
「やっぱり、そうでしたか」
「親衛隊時代は、周囲の目が厳しかった。確かに今も煩いが、当時を思えばいい方かもしれない」
「厳しいですね」
「それだけ、自身の地位に固執している」
味方を裏切り敵に寝返った者達は、高い地位を得た。多くを支配し、自習気儘に生きている。
それを失いたくない。
だからこそ、必要以上に周囲に目をやる。
彼等にとってフレイを含め一部の人間は、害虫に等しい。だが、自分の手を汚すことはしない。
臆病者の集まり。
夜会で文句を言っていた者達と同じだった。
手は出さない。
しかし、文句と愚痴を言う。
フレイの言葉に、エイルは無言で頷く。短い会話のやり取りであったが、父親が置かれている状況を理解していく。これにより何が何でもメルダースを卒業し、役に立ちたいと強く決意する。それが国の明るい将来に繋がり、課せられた使命を全うする理由でもあった。


