もっと。
もっと、長く。
しかし、それは叶わない願い。
頬が焼けるように熱い。
更に、エイルの顔を見るのが恥ずかしい。
だが、看病をしないといけないので、マナは熱くなってしまった布を手に取ると冷たい水の中で洗い冷やしていった。
(エイル様って……)
布を絞りながら考えていくのは、相手のプライベート。エイルは伯爵家の次男で、メルダースの生徒ということは知っているが、それ以外の内容は全く知らない。勿論聞いていい内容ではないが、無性に気になってしまう。その苦しい心情に、何度も何度も溜息を繰り返す。
どうしてしまったのか。
自問自答を繰り返す。
だが、回答がわからないわけではない。
ただ、回答を出そうとしないだけだった。
出したら出したで、今以上に苦しくなるだけ。それなら、仕舞ってしまった方が一番だった。
(大丈夫……ですよね)
布をエイルの額に載せると、自身は床に座り込む。そして、呆然とした態度でエイルを見詰めた。
解熱剤を飲んで楽になってほしいと思うが、眠っているエイルの口を抉じ開けて飲ませるわけにはいけないので、マナは床に座りつつエイルが目を覚ますのを待つ。勿論、何時間も待つ気でいた。
温もりと冷たさの両方が、マナの身体を優しく包む。その不可解な状況に、ゆっくりと瞼を開いた。
自身は今、何処にいるのか――
周囲に視線を走らせる前に、ペタペタと周囲を触る。瞬間、自分が床に寝ていることに気付く。
(あれ?)
その状況にマナは、反射的に身体を起こす。刹那、今までの記憶が鮮明に蘇ってきた。そう、エイルが高熱を出し倒れたので、自分が彼の看病をしていたのだ。それを思い出すとマナは慌てて彼が寝ている寝台の方向に視線を向け、看病の相手――エイルの姿を捜し出す。


