しかし――
体力が続かない。
メルダースでは一日の大半が椅子に座り、教科書と格闘していた。また、学園が休みの日も図書室に入り浸り、実家に帰郷した後も勉強を続けていた。結果、本格的に運動をしたのは親衛隊の試験の時だ。
あの時も運動不足に悩まされていたが、あの時はいい。対戦相手が、父親ではないのだから。
一撃一撃が重い。
傷付いた方の手は出血の量が増えていくにつれ、手の感覚が鈍くなっていく。だからといって、攻撃を緩めるわけにはいかない。緩めた瞬間、フレイの容赦ない攻撃が身体に襲い掛かってくる。
利き手とは逆の手で握っている剣で、父親の攻撃を受け止める。そして、利き手で握る剣を突き出す。
それは、咄嗟の行動。
フレイも読み取ることができない。
刹那、白髪混じりの青い髪がひと房、空中に舞った。
「いい動きだ」
「有難う……ございます」
「だが――」
刹那、フレイの剣が素早く動く。
その動きは、自身の目の前の物を薙ぎ払うという雰囲気だった。その攻撃にエイルは両脚に体重を込め踏み止まっていたが、だがフレイの攻撃は軽々とエイルの身体を吹き飛ばす。
体力の限界が迫っていたというのも勿論のこと、同時に見込みの甘さも関係している。片足が地面から離れる。身体の軸がずれたことにより、後方へ倒れそうになるが地面から離れた足に力を込め何とか踏み止まる。
「体力が落ちたか」
「……かもしれません」
「それでは、剣は握れないな。今日は、もういい。これ以上やっても、無意味のようだからな」
「い、いえ」
「脚が痙攣している。それでは無理だ」
父親の指摘のように、エイルの脚は小刻みに震えている。後半、上手くフレイの攻撃をかわしていったと思っていたが、身体に受けていたダメージは想像以上に大きい。それを証明するかのように、何度も肩で呼吸を繰り返している。一方のフレイは、平然としていた。


