何度も何度も、溜息を付く。
その後、意を決したように立ち上がる。
そして、庭へ向かった。
「型は、覚えているな」
「一応」
「まあ、いい。実戦で、思い出せ」
手取り足取り一から教えている暇はないと言わんばかりに、フレイは鞘に納められた剣をエイルに投げ渡す。剣は、鉄で作られた武器。ずっしりとした重量が、手首に堪える。刀身の長さは、一般的に使用されている剣より短い。そう、これは普通の剣と違っていたからだ。
続いて、もう一本の剣が渡される。今度は不意の動きであった為に受け取るのに戸惑い一瞬地面に落としそうになってしまうが、何とか受け取る。これも重量があり、思わず顔が歪む。
「これくらいも持てないのか」
「最近、本が一番重かったので……」
「そうか」
「す、すみません」
「いや、気にするな。メルダースでの学業は、わかっているつもりだ。だからといって、それを理由にするな。実力で左右されるということを、メルダースで学んでいるはずだからな」
「はい」
刹那、クリスティの表情が脳裏に過ぎる。その瞬間、ブルっと身体が震えた。クリスティの迫力は身体が嫌でも覚えているので、顔を思い出しただけでこのように身体が反応してしまう。
クリスティとフレイ。
どちらが怖いか。
勿論、エイルはクリスティと言う。
何だかんだで、フレイは優しい。父親として、息子へ愛情を注いでくれるからだ。だが、クリスティは違った。
親子関係が無ければ、姉弟でもない。それに、此方が大金を払って最高の学問を学ばしてもらっているので、立場で示せば天と地。全ての実権は、クリスティが握っているといって過言ではない。また、彼女は面白いという部分を中心にして動いていく。これほど厄介な性格はなく、大半が感情で物事を判断する。それらを総合すると、フレイの方がいいものだ。


