エルバード公国の公子の立場にいる人物だけあって、身形はいい。「馬子にも衣装」という言葉が存在するように、完全に服に着られているので、身形が立派で中身が伴っていない。
金髪の髪は、物語の中に登場する王子様――と言っていいが、半笑いしている表情が気持ち悪い。影で怪しい犯罪を行っているのではないかと、失礼ながらエイルは思ってしまう。
しかし、様々な要因が重なって絢爛豪華だ。社交界に参加している人物も同じ単語が使用できるが、公子の場合は最悪な意味での絢爛豪華だった。何より、明かりを反射させ眩しい。
「目が痛いです」
「我慢だ」
「あの人物が、将来隣国のエルバード公国の後継者……ですか。ちょっと、考えてしまいますね」
「それは言わない方がいい」
「わかりました」
クローディアはエルバードに干渉を強く受けているので、敵対心を誘発する発言はしてはいけない。
何処で、隣国と繋がっている人物がいるのかわかったものではない。今信頼しているのは互いの身内であり、エイルはイルーズを信頼しイルーズはエイルを守っている。その為、緊張した空気が漂う。
その時、人が流れた。
そう、馬鹿息子が動いたのだ。
彼の一喜一憂。動作のひとつひとつに、注目が集まる。それだけ、独特の雰囲気を生み出す人物だ。彼が向かった場所。それは、イルーズの側。イルーズは、城で財務関係の仕事をしており、尚且つ有名な一族の人物。そして将来家名を継ぐ者なので、嫌でも目立ってしまう。
お陰で、厄介な相手に言葉を掛けられる。イルーズは明確に好き嫌いを明るみにしないが、ミシェルは別だった。
話し辛い。
普通の人物と違う。
別の世界で、生きている。
三番目の意見は、ある意味で正しい。彼はエルバード公国の公子であり、一方は伯爵家の息子。両者の間に明確な身分の差が存在するが、イルーズが抱いている認識は違う場所にあった。それは、世間的な見方。一般常識の有無。それに、振舞う態度。それらが、普通からかけ離れている。それが別の世界に生きているという意味を表し、頭痛に悩まされる。


