交換条件と聞き、一瞬身構えてしまう。しかし、エイルは自分の身代わりになってくれた人物。
マナは唾を飲み、頷く。
「裁縫を教えて」
「裁縫ですか?」
「そう、いいかな」
「エイル様は、裁縫は……」
「下手」
だが、マナはそのように思っていない。現に、洗濯した服は綺麗に繕われていた。それを丁寧に話していくが、エイルは話の内容に苦笑いを浮かべている。問題は、時間が掛かって仕方がないということだ。時間を短縮したいということで、マナに裁縫を教えて欲しいと頼む。
「いい?」
「……はい」
「有難う。これで、メルダースでの勉強の時間が延びるよ。あっ! 勉強が途中で止まっていたね」
「よ、宜しくお願いします」
教師に教えを請う生徒のように、マナは深々と頭を垂れる。改まった姿にエイルは微笑を浮かべると、丁寧に語っていく。その間、マナは瞳を輝かせ聞き漏らさないように聞いていった。
無論、話の間ジャガイモの皮むきは続けられていく。そして全ての話が終わった時、皮むきも終了していた。その後先程の約束通りエイルは身代わりとなったので、大事に発展しなかった。
◇◆◇◆◇◆
その夜、フレイはイルーズを呼び出していた。語られている内容は、エイルが親衛隊の試験が終わった時に語っていた物と同じ。しかし先程以上に内容は重く、二人の表情は硬い。
「わかっているな」
「はい」
「エイルには、荷が重い」
フレイの言葉に、イルーズが頷く。彼等にしてみれば何が何でもメルダースを卒業して欲しいと思っているので、今は勉強に集中してもらわないといけない。だから今回の話し合いに、エイルは呼ばなかった。また理由は他にも存在し、根が深い件を抱えているからだ。


