余程、腹が減っていたのか、必死にチーズを食べ続けているマナに、エイルは居た堪れない心情を抱く。メイド達は理由があって、マナが多くの仕事をこなしているといっていたが、瞬時にそれが関係していると判断する。しかしエイルは、やはり聞き出すことはしない。
食べている間に、話していく――そう言ったが、エイルが口を開くことはしない。静かにマナが食べている姿を見詰めもっと食べるか尋ねるが、マナは頭を振りそれを丁重に断った。だが、身体は正直。大量のチーズを食したというのに、腹が間延びした音を鳴り響かせる。
「貰って来る」
「だ、大丈夫です」
「でも、鳴ったから」
「本当に、これ以上は……」
流石にチーズ以外の食べ物を食した場合、大食いと判断されてしまう。エイルにそのように思われたくないマナは、必死にいらないという気持ちを伝えていく。そして、食べ物はタダではない。勿論、頂いている給料から支払わないといけないので、一生懸命に断った。
「そう、言うのなら……」
「……すみません」
「マナが、謝ることじゃないよ。それに腹が空いていたら、きちんと仕事をすることはできない」
「それは、平気です」
体力には自信があったので、主人達から命令があれば一日中仕事をすることも可能だと話す。それを自慢するように懸命に訴えていくが、逆にその話になりマナが無理しているということを証明してしまう。
何故、これほど――
他のメイド達は適度に休憩を入れているが、マナは常に仕事をしているといって過言ではない。
「寝ている?」
「はい」
「どれくらい?」
「三・四時間です」
それを聞いたエイルは、唖然となってしまう。確かにエイルも徹夜で勉強しているので、それくらいの睡眠時間が多い。だが、マナは重労働に等しい仕事をしているので、三・四時間という睡眠時間は実に厳しい。マナは、疲れているという素振りを一切見せない。それが彼女の特徴とはいえば特徴なのだが、エイルにしてみれば痛々しいという印象しか持たない。


