全ては、時代の流れか。
だが、それで片付けていい問題ではない。
シードが親衛隊の試験を受けた時の年齢というのは、二十歳未満。そして現在の年齢は27歳なので、十年未満の年月を「時代の流れ」と言って、片付けられるわけがなかった。何より、クローディアの王室親衛隊は長い伝統を持っている。その為、厄介ごとにストレスが溜まっていく。
その時シードの視界の中に、彼の神経を逆撫でし常に不愉快にさせる人物が飛び込んでくる。
徐々に、顔が歪んでいく。
刹那、脳裏に一人の少女の顔が浮かぶ。
「後を頼む」
「隊長!?」
「シェラ様のもとへ。リデル、右を見ろ」
「あれは――」
今、本音を言いたい。しかしリデルは、それ以上の本音は封じていく。シードが言う不審人物――無論、知っていた。そして、クローディアの女王シェラに関係している人物だった。
シードは、シェラのもとへ行くと言う。それに、彼女の周囲にはいい人物が集まってこない。シェラの年齢は12歳で、若く脆い幼い女王。下手をすれば、いいように利用されてしまう。
「しかし、隊長」
「大丈夫だ」
「そ、そうでしょうか」
「今、おかしな動きはできない」
シードの言葉に、リデルは苦しい表情を浮かべる。そもそも親衛隊の隊長と副隊長の両者が、試験会場に顔を出しているのはおかしい。王家の盾として存在している部隊。それに、シェラの守護を第一に優先しないといけない。だが、二人を含め多くの親衛隊の面々が一箇所に集まっている。
そう、これには裏が隠されていた。
シードの我慢の限界が、頂点に達した。それにより、裏で動いている者達の意志を無視して動く。
「それと、彼は合格だ」
そう言い残すと、シードは踵を返し一定の方向へ向かって歩いていく。突然の行動に親衛隊の中に動揺が走るが、リデルの言葉でいつもの冷静さを取り戻していく。そして無礼者によって中断してしまった、試験を開始する。勿論、不正に魔法の習得をした者は連行されていた。


