なら――
裏で、魔法を習得した。
では、何処で学んだというのか。
刹那、エイルの言葉を遮るかのようにリデルの声音が響く。そして、厳しい口調で問い質していった。
「貴様、メルダースを愚弄する気か」
「どういう意味だ」
徒ならぬ状況に、シードが間髪いれずに言葉を投げ掛けた。リデルもシード同様、感情を荒げることは珍しい。その者が、感情を露にしている。シードはメルダースの卒業生ではないので、魔法は専門外だ。そして相手は、一番信頼を置いている人物。他の親衛隊の隊員以上に、リデルの言葉が耳に届く。
それに彼女が、自分に都合がいい言葉を勝手に述べる人物ではないことを知っている。その為、シードはリデルに問う。その言葉に、どのような真意と意味が含まれているかを――
「はい。本来、魔法の勉学が行える場所は決まっております。それはジル・クリスティ殿が学園長を勤めています、メルダースのみです。理由は、正しく魔法を継承していくという理由が存在するからです。故にメルダース以外での習得は禁止されており、厳しい処罰が下されます」
「なるほど」
リデルの説明にシードは、顔面蒼白で冷たい汗を大量に流している人物を見下す。彼は親衛隊の地位に誇りを持ち、自身と他者を厳しく律していた。守るべき事柄から著しく外れた不届き者に、嫌悪感を抱いてしまう。だからこそ、このような人物は許すことができない。
「連れて行け」
声音は、荒々しい。
しかし今、判決は述べることはしない。
この者は、メルダースという巨大な組織を敵に回した。地上最強の魔女と呼ばれている、ジル・クリスティ。勿論、シードは彼女の常識外れの噂を耳にしている。そして敵に回した場合、人生が終了するという話も聞いていた。今後この者は、クリスティの玩具と化すだろう。
後に、背後関係を追及しないといけない。
だが――
親衛隊の試験の最中に発生する前代未聞の出来事の数々に、シードは頭痛を覚えていた。アルフレッドが、拳で煉瓦を粉砕。そして不正に習得した魔法を使用した人物が、混じっていた。シードが試験を受けた時、勿論迷惑千万の理解し難い常識を逸脱した人物はいなかった。


