「本当ですか!」
「嘘を言ってどうする」
「いやー、そうですね」
合格を受けたことに、アルフレッドは完全に有頂天状態だった。両手を腰に当て、馬鹿笑い。合格してしまえばこっちのものということを全身で表現しているのか、リデルに続きシードの機嫌も悪くしている。この場が親衛隊の試験会場ではなかったら、シードは抜刀していた。
何度見ても、アルフレッドの性格の問題点は多い。品格の欠片も持っておらず、尚且つ下品だ。それら相俟って、受験者の中から文句が述べられる。まさに、喧喧囂囂(けんけんごうごう)。試験会場は、修羅場に近い状況に置かれていた。やはりアルフレッドは、騒ぎを呼び込む体質を持っている。
煩く騒いでいる受験者達を、親衛隊の面々が懸命に制していく。しかし、一度火が点いてしまうとなかなか消すことができない。騒いでいる者達は一次試験の時は、冷静に物事を分析していった。
それだというのに、アルフレッド相手に感情を露にしている。親衛隊は常に冷静な判断が要求される職種だというのに、彼等は馬鹿というべきか。それとも、阿呆と表現するべきか。リデルとシードは、溜息を付く。
「連れて行け」
「一体、誰を――」
「こいつ等だ」
シードは、敢えて“等”の部分を強調して命令を下す。無論、親衛隊の面々はシードが言っている言葉を理解している。しかし受験者達は騒ぐことに集中していた為に、肝心の部分を聞き漏らす。それにより両手を掴み、引き摺るように連行されている意味がわからなかった。
「えっ! な、何?」
「同罪です」
「いや、あいつが悪いのでしょう」
「隊長は、こいつ等と言っています」
「……等?」
刹那、受験者の間に悲鳴が轟く。やっと言葉の意味を理解したのか、身動ぎをしながら抵抗を続けている。彼等は、アルフレッドを頭ごなしに否定していた。しかし今、彼等はアルフレッドと同じ行動を取っていた。
所詮、一次試験で不合格を食らった者達と彼等は一緒。上手く誤魔化していたらしいが、とうとう襤褸が出てしまったようだ。お陰で、勝手に人数が減っていっている。アルフレッドは、一種の濾過装置。本人は意識してやってはいないが、劇的な効果を生み出していた。


