しかし唯一、アルフレッドを止められる人物がいた。そう、その人物こそエイルであった。エイルもシード同様、彼も厳しい口調で語っていく。予想以上の迫力に、アルフレッドは戦く。だがそれはアルフレッドだけではなく、親衛隊の面々の他に受験者も同じだった。
「皆が、迷惑しています」
「い、いや……この場合……」
「いい加減にした方がいいです」
「ほら、結果が――」
「結果が、何ですか?」
全身から放たれている、殺気に近いオーラ。シードとリデル以外はそのオーラに恐怖心を抱き、エイルが何者なのかと隣に立っている者同士喋っていく。無論、メルダースで「黒エイル」と呼ばれ、一部の生徒の天敵になっていることを知らない。だからこそ、憶測が生まれる。
悪魔の使者。
女神が使わした、破壊の申し子。
人間の妄想力は、湧き水に等しい。
結果、多くの単語が口を衝いて出る。
だが、流石鈍感のアルフレッド。エイルのオーラを簡単に横に流し、そして反論していった。勿論、それは無謀以外の何ものでもない。それにより、間髪いれずに再度攻撃が来る。
「い、いいじゃないか」
「そうですか」
我儘を続けるアルフレッドに深い溜息をつくと、エイルはシードに意見する。そう、不合格でいいと――
その提案に、シードは同調するように頷く。どうやら、シードもエイルと同じ意見を持っていた。それにアルフレッドの唯我独尊っぷりを見たら、誰もがそのような答えを出している。
「不合格!」
「当たり前だ」
「そ、そんな」
「これ以上の意見は、却下だ」
「さ、最後に――」
最後の足掻きというべきか、アルフレッドは何を思ったのか周囲を囲んでいる壁の側へ向かう。そして次の瞬間、拳で壁をぶち抜いた。無論、壁を拳で破壊するのは不可能に近い。何より壁の材質は、木材や石材ではなく硬い煉瓦だ。それをアルフレッドは、拳で砕いた。


