エイルがフレイの言葉を思い出していると、リデルが試験内容を語っていく。最初の一部分は聞き逃したが、大体の部分は理解できた。この試験で、知力と体力を測るというものだ。
リデルの言葉に、集まっている者達の間に動揺が走る。どうやら多くの者達は体力と武力、そして技術面を図られると予想していたらしく、知識面に関しては完全に予想外。しかし最初から予想を立てていたエイルは、慌てふためく様子はない。だが、アルフレッドは顔面蒼白である。
「聞いたか?」
「聞きましたよ」
「何故、知能を図る」
「当たり前だと思います。親衛隊は、王家を守護するのですよ。厳しく言いますと、馬鹿では勤まりません」
「……なるほど」
説得力のある言葉に、アルフレッドは言葉を詰まらす。親衛隊はその名の通りひとつの部隊であり、隊長シードの下で統括され命令を持って動く。
無論、中には複雑な命令や任務も存在するので、最低限の知識を有していなければ下された内容が理解できず多くの被害を招いてしまう。そして、クローディアの王家は絶対の象徴。その者の護衛に、無能はいらない。
エイルの説明に一応納得したのか、アルフレッドが大人しい態度を取っている。当初の印象は筋肉馬鹿の傍若無人と思っていたが、物事を理解し判断する能力は持っているらしい。その箇所は褒めてもいいが、いかんせん図に乗りやすい。それに緊張感が漂う今、馬鹿笑いは不必要だ。
刹那「非情だ」という言葉を、一人の男が発した。するとその瞬間、病気が一気に伝染していくかのように「非情」の二文字が、周囲に広がっていく。それに続くように、人々は口々に同等の意見を発していく。そしてざわめきは更に動揺を増幅させ、言葉の語尾を強めた。
「な、何だ」
「静かにしていた方がいいですよ」
「れ、冷静だな」
「合格したいですから」
「何!?」
「親衛隊の面々を見れば、わかります」
その言葉に促される形で、アルフレッドは親衛隊の顔を一人ずつ眺めていく。すると煩い受験者を他所に、彼等は現在の状況の終息を図る素振りを全く見せなかった。それにシードとリデルも冷静であり、それどころか「何をしている」という感情を表情に出していた。


