無論、それはエイルだけが抱いた感情ではない。周囲にいた者達も、冷ややかな視線を向けている。その視線を感じ取ったのか、アルフレッドは周囲に視線を走らせると首を傾げた。
「視線が、痛いな」
「アルフレッドさんが、悪いからです」
「何故?」
「自覚が、ないのですね」
「何が?」
アルフレッドはエイルの両肩に手を乗せると、身体を思いっきり振っていく。そして、答えを聞き出そうとしていた。しかしエイルは、口を開こうとはしない。というより、何も話したいと思わなかった。「どうして、答えないといけない」それが、エイルの本音に近い。
二人のやり取りは弥が上にも目立ってしまうので、試験の場所より二人の周囲に人が集まってくる。彼等のヒソヒソとした声音が、エイルの耳に届く。無論、その内容は聞いていていい気分はしない。
「いい加減にして下さい」
「おっ! 口を開いた」
「試験が、はじまります」
「まだ、早いぞ」
「そうでしょうか」
エイルの言葉に、アルフレッドは過敏に反応を示す。それと同時に周囲に集まっていた者達が、一定方向へ流れてった。エイルの言葉の通り、試験が開始するらしい。その証拠に、数人の親衛隊の隊員が姿を見せる。彼等の登場に一瞬にして、ピリピリとした空気がその場に立ち込めた。
「どれくらい、合格するのかな」
「それは、知りません」
「つれないね」
「そうでしょうか」
アルフレッドの言葉に対し、エイルは淡々と返事を返していく。現に何人合格するかわからないが、大まかな人数は予想することができた。それはフレイに、現在の隊員数を聞いていたからだ。その人数は、二十人。そして、除隊したのは三人。それを考えれば、同数の人数を補充するはず。
しかし、そのままの人数が当て嵌まるとは限らない。現在、王家の人間は一人。それは現在女王の地位に就いているシェラという名前の少女のみ。彼女を守護する為に、人数は多い方がいいだろう。シェラの年齢は12歳で、この年齢では自分自身の身を護ることは不可能だ。


