狙った獲物は、逃がさない。
アルフレッドの瞳が、怪しく輝いた。
横目で見ていたエイルは、悪寒を感じてしまう。それと同時に、おかしな人物に捕まったと嘆いた。
「話を最初に戻していいですか」
「何だ」
「親衛隊の試験のことです。アルフレッドさんは、僕が痩せていると言っていました。そのことです」
「ああ、そうだったね」
数分前に話していた内容を、簡単に忘れてしまう。外見年齢から推測すると、ボケは早過ぎる。要はひとつの出来事を解決する前に、違う内容に行ってしまう。結果、未解決の内容が蓄積していく。アルフレッドはそのことを気にしていないが、周囲にいる者は困ってしまう。
「僕は、魔法を学んでいます」
「魔法?」
「……忘れていますね」
「何だったか……」
人の話を聞かないで、物事をすぐに忘れてしまう。欠点の方が目立つアルフレッドという人物が親衛隊の試験を受けに行くというのだから、エイルは内心大丈夫なのか心配になってしまう。
試験は体力以外に、知力も重要となっていく。アルフレッドは前者の面では大丈夫だが、果たして後者は――
しかし、他人の合否を気にしている場合ではない。今は、何が何でも合格しないといけないからだ。
アルフレッドが合格してしまうと、枠がひとつ減ってしまう。今回、何人の合格者が出るのか不明だが、以前の合格者は三人と聞く。それに他人を合否はどうでもいいので、ついつい厳しくなってしまう。
「覚えていないのならいいです」
「教えてくれないのか?」
「二回も言うのは、面倒です」
「減るものじゃないんだし」
「嫌です」
否定の言葉を述べると、エイルはそれ以上口を開くことはしなかった。アルフレッドと会話をするのが疲れてしまったのか、横を向いてしまう。つれない態度にアルフレッドは猫撫で声で引っ付いてくるが、エイルは完全に無視する。面倒であると同時に、疲れてしまったからだ。


