生来の馬鹿か、それとも楽観的か――
エイルはアルフレッドの態度に眉を顰めると、自身の名を名乗る。無論、ファミリーネームは明かさない。
「ああ、そうだった」
「三度目は、無いですよ」
「大丈夫だ。覚えた」
「……信用できません」
白い歯を見せ笑うアルフレッドに、エイルは「信用」という言葉を抱くことができないでいた。別に悪い人間には思えないが、いかんせん態度が悪すぎた。そう、所構わず笑うことだ。
「まあ、追々信用してくれ」
「……わかりました。で、君も? というのは、どのような意味でしょうか。僕じゃ、いけませんか」
「何、痩せているから」
人を見た目で判断する言い方に、エイルは鋭い視線でアルフレッドを睨み付けた。今まで、実力主義のメルダースの中で学んできたエイルにとって、これは聞き捨てならない。寧ろこれは無知の人物が発する言葉で、それにエイルは知っている。筋骨隆々でも、木偶坊がいることを――
「冗談だ」
「いえ、本気でした」
どうやら図星だったのかアルフレッドは悔しそうな表情を見せると、舌打ちしていた。この瞬間、エイルは「図体が大きいが嘘は苦手」と、判断する。以前、剣の修行の為に各国を周っていたと言っていたが、対人関係――特に、話術に関しては修行していなかったようだ。
「口が達者だね」
「そうでもないです」
「つれないな。で、改めて聞くが一緒にいいか?」
「仕方ないです。いいですよ」
「おっ! どういう風の吹き回しだ」
「どうせ、断ってもついて来ると判断しました」
物怖じせず、ズバズバと物事を言ってくるエイルに、アルフレッドはたじろぐしかなかった。
見た目、十代後半の少年。その人物に言い負かされ、尚且つ迫力でも勝つことができない。アルフレッドは旅の最中、同じような人間に何人も出会ってきているが、この年代は珍しい。それにより出会った当初以上に興味を抱き、寄生動物のようにベタっと張り付いた。


