寝坊してしまったが、遅刻の心配はない。マナは物事を過度に気にしてしまう性格であるが、親衛隊の試験まで気にしなくていい。それにマナはメイドなので、彼女は彼女に割り当てられた仕事をしなければいけない。エイルはそのことを説明していくと、マナは深く頷き返す。
「じゃあ、行くよ」
「はい」
「あっ! それと――」
その言葉に続きポンっと手を叩くと、マナの顔の前に指を出す。そして、勉強は大丈夫か聞く。勿論、マナは寝る前に勉強を行っているので、大丈夫ということを示すように微笑む。それを見たエイルは満足そうに頷くと、親衛隊の試験が終わったら勉強を見ると約束する。
「で、でも……」
「約束は、約束だよ」
「はい」
「それじゃあ、改めて行くよ」
「頑張って下さい」
メイドという立場上、それ以上の自身が思っていることを口に出すことはできない。親衛隊の合否は、バゼラード家の内情と立ち位置が大いに関係していく。その為、部外者が深く立ち入っていい問題ではない。それに、あれこれと心配していいのは一部分の人間である。
エイルが親衛隊の試験に向かった後、マナは仕事を再開していく。今、彼女が出来る仕事は掃除と繕い。
しかし、心の中で願う。
合格、できるようにと――
◇◆◇◆◇◆
親衛隊の試験に当たって、エイルは重要な点を忘れていた。それは、多くの人物が受けに来るということ。その中に、国境付近で出会ったアルフレッドという人物の存在が含まれていた。
彼と、再び――
その瞬間、エイルは嫌悪感を示した。
二人が出会ったのは、街の中心部。それも、運命というべき対面。エイルは顔を歪ましたが、アルフレッドは満面の表情を浮かべていた。それと同時に、どうしてこの場所にいるのか尋ねる。勿論、エイルは親衛隊の試験を受けるのを隠したが、最終的にはわかってしまうだろう。


