そう、この行為は確信犯に繋がっていた。何よりへこんでいる姿は、似合わないと思っていた。しかし、言葉に出すのは恥ずかしいので、ラルフの日頃の行為を使わせてもらった。
次々と語られていく、ラルフの所業。当初、普通に聞いていたマナだったが、徐々に表情が歪んでいく。
何故、どうして――
疑問が入り混じり、混乱していく。
「入学は、大丈夫だったのでしょうか」
「学園長は、不正は嫌いだよ」
「で、でしたら……」
「ああ、泣かない」
今の言葉を悪い方向に捉えてしまったのか、目許に大量の涙を浮かべている。出会ったばかりの二人であったら、エイルはムスっとした表情を浮かべていただろうが、今のエイルは違う。付き合っている間にマナの性格を理解していったのか、逆に心配の対象となっている。
「……頭が」
「いいと思う」
「それでしたら……」
「あいつを物事の中心に入れてはいけないよ」
「そうなのですか?」
「メルダースの建物をぶっ飛ばしていく人物が、一般の人間と一緒というのは有り得ないよ。それより、こうやって仕事をしているマナは偉いと思う。他人に、迷惑を掛けていない。寧ろ、感謝されている」
途中、自分で何を言っているのかと照れが混じるが、マナに元気を出してもらわないと困る。メイドの中で、一番頼みやすい。そして、自身の世話をしてもらっている。また、リンダが怖い。エイルの場合、私的の用件が第一主義。それにより、必死に言葉を並べていく。
「マナは、本当に考え過ぎ」
「それは、昔から……」
「僕は、気にしていない。それに、綺麗に掃除をしてくれる。それが僕にとっては嬉しいよ」
「……エイル様」
相手を思う優しい言葉に、マナは素直に礼の言葉を発していた。その言葉にエイルは満足そうに頷くと、親衛隊の試験へ行くことを告げた。それを聞いたマナは、遅刻をしていないかどうか尋ねようとする。しかし言葉を発する前に、エイルが顔面に突き出した手で制される。


