「砂糖の摂り過ぎは、太る」
「体重の管理は、しています」
「しかし、生活面はだらしない」
「わかっています」
イルーズが言葉を止めると同時に、今度はフレイが口を開く。知識に関してはエイルは二人と肩を並べることができたが、それ以外の面では足下にも及ばない。朝から二人からの集中攻撃を食らうとは思わなかったエイルは、気まずそうな表情を浮かべつつ食事を再開していた。
「エイル」
「何でしょうか」
「平気?」
「先程、言いました」
朝食を食べ終えたエイルが部屋から出ると、シーナが話し掛けてきた。朝食の最中、夫と息子が一方的に会話を繰り返していたので、話に参加することができなかった。その為、今の機会を狙う。シーナは、別の部分を心配していた。それは親衛隊の合否ではなく、身体の方だった。
父親と母親は、愛情の注ぎ方が異なる。
父親は、一族の名前を心配する。
一方、母親は息子の身体と精神を心配する。
形が違えども、愛情を持っているということには変わりない。その証拠に、フレイは「無理をするな」という言葉を残した。勿論、表情に表すことはしていないが、心は理解できる。
「四年も会わないと、逞しくなりますね」
「そうでしょうか」
「男の子は、特にそう思うわ」
「兄が、いい例ですか?」
「あの子と貴方は、違うわ。それに、夫の期待の掛け方も――本当に、御免なさい。エイル」
「昨日今日、言われたことじゃないですから。それに覚悟というのはおかしいけど、心構えはあります」
その言葉に、シーナは微笑む。息子からそのように言われて安堵したのか、安心しきった表情を浮かべていた。イルーズはフレイに似ていると言われるように、エイルはシーナに似ていると言われている。確かに外見的特徴を示す髪の色と面立ちは似ていたが、それだけではない。


