「苦痛かな」
「えっ!?」
「悪い意味で、言っているわけじゃないよ。ただ、時々……時々、大変だと思う時があるんだ。だから、気分転換をしたいと思って。今日の買い物は、半分はそのいう意味があるよ」
「そうでしたか」
「だから、頼みごとが……」
「何でしょうか?」
しかしそのことを口にするのが気恥ずかしいのか、エイルは言葉を口にするのを躊躇う。だが、マナはエイルの言葉を待っている。その為、意を決し自身が思っていることを発した。
「いいかな?」
「宜しいのですか?」
「頼み易い」
「そ、そうですが……」
エイルの言葉に、マナは赤面してしまう。彼の頼みごと――それは、定期的の買い物に一緒について来てほしいというものだった。唐突の内容に、マナは瞬時に了承することはできない。それどころか、本当に自分でいいのか迷ってしまう。それにより、逆に質問を返していた。
「駄目?」
「その……他のメイド達では、いけないのでしょうか。私より、もっと真面目なメイドはいます」
「だから、頼み易い。それに、荷物を持ってくれる人物がいると有難い。そういう理由なんだ」
他のメイド達より、大人しく物静かで一緒にいると楽。そのような理由から、エイルは「一緒に――」と、頼んだ。それ以外、深い理由は存在していないという。その発言にマナは赤面から一変、複雑な表情を浮かべてしまう。しかし相手が相手なので、下手に断ることはできなかった。
「有難う。やはり、頼み易い」
「い、いえ……」
「お礼で、それを贈るよ」
「で、ですが……」
確かに、恋愛小説に興味を持っているということを言った。だからといって、それをプレゼントさせるとは思いもしなかった。反射的にマナは頭を振るうと、貰うわけにはいけないと告げるが、エイルはそれを許さない。どうやら、荷物持ちをさせてしまうのが申し訳ないようだ。


