アルフレッドは、ラルフと似ている部分があった。無論、しつこさに関しても同じだ。彼は諦めを知らないので、更に食い下がってくる。彼にしてみれば、どうしても馬車に乗りたかったようだ。
「友達だから」
「いつ、友達になりました?」
「名前を名乗った時に」
その発言に、エイルは盛大な溜息をついた。この考えを詳しく分析すると、アルフレッド曰く「人類皆友人関係」ということになってしまう。しかし、世の中は甘くはない。名乗っただけで友人関係になるということは、絶対に有り得ない。
これが正しい理論であったら、大声で名乗った瞬間、周囲にいた者達全てが友人関係と見做さないといけないことになる。
実に馬鹿馬鹿しい考えであったが、アルフレッドにしてみれば本気そのもの。何事も全力疾走に行うことが彼の美的らしいが、エイルはいい迷惑なので乗せる理由にはならなかった。
「で、乗せて」
「嫌です」
「厳しいな」
「そのようなことは、ありません。確かに、名乗りました。しかし、貴方とは他人同士です。ですので、断ります」
「いや、助け合いの精神が必要だ」
「貴方が言うと、胡散臭く聞こえます」
すると、アルフレッドはその言葉に過敏に反応をしていた。どうやら心当たりがあるのだろう、それを隠すかのように笑い出す。だが、エイルはお見通し。この反応は、ラルフにそっくりであったからだ。似た者同士、扱いは容易い。その結果、発せられる言葉は容赦ない。
その時、二人の会話にハーマンが割って入ってきた。彼曰く、早く馬車を走らせたいらしい。実家にはエイルの両親と兄が首を長くして待っているので、遅刻は許されないという。
「エイル様、仕方ありません」
「いいの?」
「はい。埒が明かないです」
「そうだね。まったく」
こうなると、エイル側が折れないといけない。本当は受け入れるべき問題ではなかったが、ハーマンの一言が全てを動かした。この場合、アルフレッドは関係ない。用は、両親と兄の顔を早く見たかった。ただ、それだけの理由で、アルフレッドはオマケの付属品といっていい。


