ラルフがネタ元ということだけあって、彼等の言葉に容赦はない。しかし、これも毎度の出来事。言っている側は本気ではなく、寧ろ楽しんでいた。これもまた、日常の一部となっている。
「そんなに勉強して、どうするんだ?」
「やっぱりお前は、実験だろう」
「また、爆発させてくれよ」
回復魔法を専攻している生徒ケインが、ラルフに声を掛ける。どうやら好奇心の方が増したのだろう、満面の笑みを浮かべていた。一方ラルフは、いきなり声を掛けられたことに驚く。
「な、何?」
「何って、爆発だよ」
「メルダースをぶっ飛ばせるのは、お前しかいない。結構、期待しているんだぞ。面白いから」
「だから、今日は思いっ切り一発やってほしい」
言葉ではそのように言っていたが、内心は違った。要は、ラルフが怒られているところが面白い。エイルの関節技はメルダースの名物となり、ラルフの悲鳴は鳥の囀りと同等の意味合いを持つ。
だが、エイルは実家に帰郷してしまった。そうなると、関節技を楽しむことはできない。それなら、爆発を期待するしかないだろう。だからこそラルフを誘惑し、実験へと誘導する。
しかし、ラルフも馬鹿ではなかった。まさに野生の勘というべきものか、瞬時に隠されている本音を見抜いてしまう。普段は相手もしてくれないというのに、今回に限って優しい言葉を投げかけてくる。有り得ない彼等の言動にラルフは身構え、反射的に距離を取った。
「大丈夫だって、心配ないよ」
「許可は、俺達が取ってくる」
「望まれて行うってことは、凄いことだぞ。それだけ俺達は、お前の才能に期待しているんだ」
「だから……ね」
彼の言葉と本音が一致することはない。ラルフは彼等の好奇心を満足させる道具であり、所詮それ以上の存在にもなることができない。だからこそ、普段はあのように冷たく当たる。
言い訳を考えるのに長けているラルフであっても、流石に彼等に対して何と言っていいのかわからない。適切な言葉が思い付かないのかしどろもどろになってしまい、途中で何を言っているのかわからなくなってしまう。動揺しているラルフにケインは怪しく笑うと、衝撃的な言葉を言い放つ。


