「卒業試験でこのような失態……不合格だな」
「……わかりました」
採点が行われる前に決定した不合格に、生徒は何も反論ができなかった。理不尽とも取れる仕打ちであったが、これは仕方がない。魔法の制御に失敗し他者に迷惑をかけたということは、重大なことだ。
不合格を言い渡された生徒は、トボトボと仲間の元へと帰っていく。そして堪えていたのか、急に泣き出してしまう。それを慰める他の生徒達の目元にも、光るものが存在していた。
それだけ不合格を言い渡されることは、生徒にとって非情な内容であった。身を裂くような苦しい勉強してきたことを、再び行わなければいけない。考えただけでも恐ろしく、身震いしてしまう。それも一年を通して行わなければいけないのだから、涙を流すのは当たり前だ。
不合格を言い渡された生徒を目の前にし、エイルは複雑な心境であった。まるで将来の自分を見ているような、そのような錯覚に陥ってしまうからだ。しかしそうなれないように、エイルは努力をしていた。
だからこそこの光景を見た瞬間、決意をする。
自分もこうなってはいけないと――
そして、絶対に卒業する。
「続きは、行うのですか?」
「勿論だ」
「そうですか」
この件で試験が中止になってしまうのかと心配したが、どうやら続けるらしい。それを聞いたエイルは、ホッとしていた。流石に中止になったら、試験を受けている生徒に申し訳ない。
特に被害は――後ろで転がっているラルフは、大丈夫だろう。あのような体勢になっているが、無傷に決まっている。見た目以上に逞しく丈夫に作られている身体であり、少々のことでは壊れない。
「では、次は気をつけるように」
「わかりました」
そう言い残すと、試験を行っていた教師は校庭へ戻って行く。ふと、先程の言葉に疑問が生じた。次は――そのように言われても、見学をしている生徒が気を付ける理由などない。
そもそも試験を受ける生徒が、気を付ければいい。それに見学者に怪我を負わせたらどうなってしまうのかは、受験者全員が理解している。だが、これも念には念を入れての発言だと思われる。流石に二回も同じことが発生してしまったら、これはこれで大問題である。


