これらの内容は、メルダースでは比較的初期に授業で教えてくれる。復習程度に読むのなら最適だが、これでは高い知識を得ることはできない。やはり、それなりの知識が欲しいものだ。
エイルは読んでいた本を閉じると、それを棚の中に戻す。そして他にいい本がないかと、綺麗に並べられている本の背表紙を眺めていく。その時、エイルの好みに合う本を発見する。
その本を手に取ると、書かれている内容を黙読していく。すると書かれている内容が好みに合ったのか本をパタンっと閉じると、それを自身の脇に抱えつつ次の本を探しはじめる。
それを何度か繰り返していると、エイルは大量の本を持っていることに気付く。集中していたのでわからなかったが、自身が持ち運ぶのに限界に近い重さになってしまった。流石に今回は付き添いがいないので、これ以上の購入が不可能だ。それに、値段も気になるところ。
あと数冊本を探していたいと思っていたエイルだが、これ以上は無理と判断し支払いをすることにする。店主がいるカウンターまで本を持っていくと、ドスっと鈍い音をたて本をカウンターの上に堆く積んでいく。
最近、これだけの量を購入する客は珍しいので、店主は目を丸くしてしまう。しかしこれだけの量を購入してくれるのだから、相手を大切にしないといけない。店主は一瞬にして態度を改めると、営業用の笑顔を作る。そしてひとつひとつ本を確かめていくと、値段を提示した。
(やっぱり、高いな)
提示された金額にエイルは項垂れ、心の中で溜息を漏らしてしまうが、支払いをしないわけにもいかない。それにこれら全ての本は、来年行なわれる卒業試験に備えての勉強に欠かせないもの。
仕方ないという思いの中エイルは支払いを済ませると、これからの生活に付いて考え込む。親からの仕送りは暫くないので、残り少ない金額で上手くやり繰りをしないといけない。食事に関しては特に問題はないのだが、必要な雑貨品を買うのは控えなければいけないだろう。
メルダースの生活の中心を占めるのが勉強であるが、それ以外に日頃の生活スタイルの方にも頭を悩まさなければいけなかった。そのように考えると、様々な事柄を学ぶことができるメルダースという学び舎。結果、有意義な学園生活を謳歌できるのは一握りの生徒になってしまう。
その代表として名前が上がるのが、実家が金持ちの生徒。有り余る金に物を言わせての学園生活は、素晴らしいものがあるだろう。それだけで全てが事足りるとは限らないのが、世界一の学校と呼ばれるメルダースの所以。何事も実力主義。金があっても実力が伴わなければ、惨めな思いをする。


