これをいい機会として、ラルフを追い出そうと思いはじめた。
数々の問題行動を多々起こせば、流石のクリスティも何も言えない。
もし追い出すことができれば、まさに一石二鳥。
エイルは清々しい学園生活を送れ、メルダース側は破壊工作が治まり万々歳。
いや、それだけではない。
悪い噂がこれ以上広がらないのだから、一石三鳥だ。
「そういうことだから、諦めよう」
「何だか、いつになく厳しいね」
「そんなことはないよ。まあ、それは置いておいて……僕の外出許可のことなのですが、宜しいでしょうか?」
「うむ。君なら結構だ」
これもまた、日頃の行いがいいからだろう。
ジグレッドは「本屋に行く」という簡単な理由で、外出許可を出してくれた。
そのことにエイルは嬉しそうに微笑むと、ラルフを一瞥する。
「という訳だから、後は頑張ろう」
「見捨てないで」
「それは無理。僕は、悪いことをしていないから。それでは、失礼します。ラルフのことをよろしくお願いします」
そう言い深々と頭を下げると、エイルは何事もなかったかのようにジグレッドの私室から出て行ってしまう。
その時の表情は実に清々しく、ラルフに仕置きができたと喜んでいるようでもあった。
そして、ラルフの地獄がはじまる。
無論それは、ジグレッドの説教であった。
流石に何度も体験しているラルフであっても、この雰囲気には慣れない。
周囲に漂う張り詰めた緊張感に、額に汗が滲む。
次の瞬間、悲鳴がこだます。
そして、一時間たっぷり説教を聞くことになった。
◇◆◇◆◇◆
ラルフが長い説教を聞いている頃、エイルは目的の店で立ち読みをしていた。
いつもなら軽く読み購入しているのだが、今回は違った。
メルダース卒業がかかっている手前、中途半端な内容の本を購入することはできない。
その一番の理由は、手持ちの金銭に余裕がなかったのだ。
この場合、もっと深く専門知識が書かれた本が必要となるのだが、なかなかそのような本が見つからない。
何人もの生徒が利用しているので、それなりの本が置いてあってもおかしくはないだろう。
しかし置かれている本の大半は、入門書や中級クラスの内容となってしまう。


