「合格していたら、教えてくれよな」
「ついでに、ラルフの状況も教えるよ」
「ははは、それはいいな」
「じゃあ、また」
彼とは、一種の腐れ縁というべきだろう。
そんな関係にエイルは肩を竦めると、ラルフが休んでいる寮へ急ぐ。
今回、普通に起こすことはしない。
日頃のストレス発散とばかりに、ラルフで遊ぶことにした。
そしてエイルはラルフの私室に入った途端、とんでもない物を目撃してしまう。
何と、ラルフが部屋の中で植物の植え替えを行っていたのだ。
それも新たに進化を遂げた、マルガリータ。
おかしな色に染まってしまった山百合であるが、ラルフにとっては大事な存在。
根が窮屈になってはいけあいと巨大な植木鉢へと移し、その隣に植えられていたのはマルガリータの代わりに育てていたキャシーだ。
並んで植えられている、奇怪な植物。思わず、言葉を失ってしまう。
もしエイルが打たれ弱かったら確実に悲鳴を発していただろう、それだけこれは衝撃的だ。
「おっ! いい時に来た」
「……ラルフ、それって」
「マルガリータちゃんの、新しいお家。キャシーちゃんは独りでは寂しいと思ったら、隣同士に」
「そ、そう」
凡人には理解できない考えに、エイルは頷くしかなかった。
大人しく寝ていると思ったら、このようなことを行っていたとは――
先程まで真剣にメルダースのことを語っていたエイルにとって、珍獣と呼ばれるラルフがメルダースに在籍していることに不思議さを感じてしまう。
以前このことでエイルは「ラルフはそれなりの知識を有していたから、メルダースに入学できた」と考えていたが、意外に手続きの手違いで入学してしまったのではないかと思えてくる。
たまたま知識が優れていたので、在籍しているだけ。
本当ならこのような問題児は、即刻追い出すべきだろう。
しかし、いつまでたっても追い出されない。
そのことに変わった性格を有するクリスティ学園長が関係していたとは、流石のエイルも気付くことはなかった。
知識ある者は、分け隔てなく。
それが、クリスティの考えであった。
よってどのような問題を起こそうとも、ラルフが追い出されることはない。
だがそれにより、学園の財政を圧迫していることは紛れもない真実。
そして、経理を担当している人物に言わせれば「問題児は、退学処分にすべし」である。


