「そういえば、あいつの故郷って……」
「南部の暖かい地域だよ」
「だから、寒いのは弱いんだ」
「弱いってものではないよ。というか、死に掛けていた」
いくらラルフの性格が知られていようとも、流石に生まれ故郷まで知る生徒は殆どいない。
その主だった理由として「ラルフの故郷は、知りたいとは思わない」という寂しい現実も関係しており、エイルのようにラルフの生まれ故郷を知っている生徒はごく僅かであった。
その為「ラルフのことを知りたければ、エイルに聞け」という困った噂があるのどで、エイルはいい迷惑であった。
「お陰で、静かだったよ」
「暖かくなってきたら、煩いな」
「そういうこと」
「で、エイル」
「何?」
先程とは違い、妙に軽い口調であった。
このような口調になった場合、大半は物事を頼む場合が多い。
エイルは様々な生徒からそれを学び取り、この口調になった途端、警戒を見せる。
「俺なら、いいか?」
「何が?」
「お前の故郷に、遊びに行くんだよ」
「何故?」
どのような意図があって何となくわかっていたが、そのことを口に出さずに疑問を投げかけると、やはり予想していた通りの回答が返ってきた。
やはり、エイルの父親に会いたいようだ。
「親衛隊を目指しているとか?」
「興味はある」
「そう簡単には、なれないようだよ」
「そうだよな」
親衛隊――即ち、王家を守る盾。
そのような存在が弱く頼りがいがなければ、勤まることはない。
もし相手に一撃で倒されてしまったら、情けないというものではなく恥ずかしい。
親衛隊になりたい者は強さが要求される。
しかし、それだけではない。ある一定の知識も要求され、まさに選ばれた存在と呼ばれるに相応しいだろう。
勿論、ラルフなど以ての外。
知識に関しては天才的であるが、問題はおかしな植物を育てる癖。
万が一、王族に危害を加えたら処刑ものだ。


