「わしにしてみたら、品種改良とは思わん」
「それは、ボケたからですよ」
それは、衝撃的な台詞だった。
ハリスは大声で笑いはじめると、ハサミを再びかち合わせる。
恐ろしいすぎる光景に、エイルは含め生徒達全員が一歩一歩と後ろに下がっていく。
そしてある一定の距離まで下がると、エイルは小声でラルフに訴えかけようとしたが、距離が遠すぎる。
その結果、必死の訴えは届くことはなかった。
それにより、ラルフはハリスの雷を受けることになる。
ハサミが振り上げられた、そしてそのまま一気に振り落とすとラルフの眉間ギリギリで止める。
だが手元が狂ったのだろう、ラルフの額からは一筋の血が流れていた。
それを見た生徒の中には、恐怖のあまりに倒れてしまう者もいる。
威圧感だけでこれまでの影響力なら、ラルフは魂が抜けているだろう。
予想は、見事に的中した。
ラルフは白目をむき、気絶をしていた。
それも立ったままの姿で。
「馬鹿だ」
「あのハリス爺ちゃんに反論した。この素晴らしさを認めないと」
「珍しいね。ラルフには、言わないことにしておくから。言ったら、あいつは調子に乗って困る」
「エイルって、本当にあいつには厳しいよな」
「躾だよ」
和やかに会話を進めていたが、突如ハリスの攻撃の矛先が向けられた。
ラルフが気絶したことにより、攻撃できなかったからだ。
しかしハリスの怒りが治まったわけではないので、とばっちりを受けた。
「ラルフ、後で殴る」
「それ、俺も同じ」
「全員で殴るか」
固く誓った者達は、ある意味で最強だった。
だがそれを実行する前に、メルダースで恐れられているハリスの怒りを受けなければならなかった。
そしてその小言は、三十分も続いた。
◇◆◇◆◇◆
朝からの小言に、エイルは不機嫌な表情を作り殺気に似たオーラを全身から放っていた。
いつもと違う雰囲気にクラスメイトは勿論、他の生徒達も声をかけづらかった。
しかし、勇気がある生徒は普通に声をかける。
それは、エイルと同じように小言を聞かされた生徒であった。


