「で、理由は?」
「調合を間違えた」
「何を調合していたか知らないけど、少しくらい間違えて爆発するような薬を授業で教えるとは思えないし」
「調合していたのは、ポーションだよ」
「前から言おうと考えていたけど、やっぱり研究者には向いていないよ。普通は、爆発させない代物だよ」
「えー、現に爆発したよ」
「明らかに、調合ミスだよ」
攻撃に用いるアイテムの調合に失敗し、爆発させたというのなら理解できなくもない。
だがポーションの調合で爆発させたとなれば、少々意味合いが変わってくる。
ポーションは、傷薬を飲み薬にアレンジを加えたもの。
爆発を起こす原因となる材料は、使われていない。
ラルフは、それを見事に爆発させてしまった。
それにポーションの調合は、初歩中の初歩。
今の学年を考えると、ポーションを爆発させている時点で、落第を言い渡されても文句は言えない。
いや、これで進級しているのだから奇跡に近い。
要は、紙のテストの成績が良すぎる。
「そんなことはないよ。時には、立派なものを作っている。年がら年中、失敗していると思わないでほしいね」
「そうか」
そのように言ったところで、実験の失敗の八割以上はラルフに責任があった。
それも、大爆発のおまけが付いて。
これで疑わないでほしいというのは、聊か無理がある。
それに、建物の一部破壊。
これだけのことをして退学処分を受けないだけ、有難いと思わないといけない。
「寮での実験は、エイルが黙っていればバレないって」
「まあ、確かに……って、口止め?」
「そういうことになるかな」
「十分なるよ」
「気にしない、気にしない」
しかし「わかった」とは、言うことはできない。
ラルフが行った行為は、明らかに「禁止事項」と記されている内容。
それを黙っていることは絶対にできない。
最悪、共犯になってしまう。
共犯として捕まる可能性が高いというのなら、後々のことを考えて何かと準備をしておかないといけない。
それに少しでも有利に立ちたいと思うエイルは、ラルフにひとつの提案を持ちかけようとした。
しかしその前に、ラルフが口を開く。
どうやら、口止めの件は冗談で言ったらしい。


