それにより進んで名乗り出る者などおらず、当日の運次第。
楽しいはずのパーティーは、今年最後の運試しでもあった。
(もしかして、これを――)
その時、エイルはあることを思いつく。
それは、ラルフは態と会場に来ないのではないのか。
ラルフの問題児としての立場は、メルダースでは確定済みなので狙われるということは、本人もわかっているはず。
だから「寒い」と文句を言い、会場に行こうとしなかった。
普段はのほほんとした一面を見せているが、野生の勘は鋭い。
それにより、クリスティの登場を予知した。
これが事実だとしたら、クリスティ同様食えない人物となる。
いや、食ったら間違いなく腹を壊すだろう。
(今度、突き出してやる)
それは予想の範囲のことであるが、強ち間違いでもなさそうに思えてくる。
大小様々な不幸が降り注ぐラルフであるが、命の危機を迎えたことは一度としてない。
研究の失敗による爆発も、怪我ひとつなく生還するほどだ。
こうなってくると、ラルフは異なる種族の生き物だと思えてくる。
「本当に、人間なのか」
ラルフがいる部屋の前まで行くと、エイルはそう叫び扉を蹴る。
だが、中から返事はない。
留守という可能性も考えられるが、この寒さで部屋から出ることはまずない。
だとすると、眠っていることになる。
「おい、起きろ!」
再度扉を蹴り、部屋の中の住人を叩き起こす。
すると、中で何かが動いたような気配がした。
それに続き「ドスン」という何か重い物体が落ちる音が響く。
そして暫くした後、扉が開かれた。
「何だよ、一体」
「お目覚めかな? ラルフ君」
「おお! 料理を持ってきてくれたんだ。やっぱり、持つべきものは友人だね」
嬉しさのあまり飛びつこうとするも寸前でかわされ、その勢いで廊下の壁に突っ込む。
ゴンっと鈍い音がしたが、このぐらいで死ぬことはない。
エイルは動かなくなったラルフを一瞥するも助けることはせず、部屋に入って行く。
「な、何で助けないんだ」
「生きているじゃないか」
「そ、そうだけど……」
鋭い突っ込みに、ラルフは反論できない。
毎回このようなやり取りを繰り返している為、エイルは耐性がついてしまった。
ラルフが傷つこうが、関係ないことだ。
それに、エイルの心が痛むということはない。
現にこのように生きているのだから、同情などしなくていい。


