「毎年ながら、盛り上がらないわね」
クリスティは泣き続ける生徒を解放すると、腰に手を当てつまらなそうな表情を見せる。
一方開放された生徒は、躓きながらも友人達のもとへ逃げていく。
そして大勢に出迎えられ、学園長の圧力に耐えたことを褒め称えられた。
「帰ろうかしら」
その言葉に、これまた一斉に反応する。中には大きく首を振り「帰ってください」と言う者もいた。
しかし悪口とは、小さい声であろうと聞こえるもの。
クリスティはピクっと身体を震わせると、悪口を言った生徒のもとへ向かう。
無論、言葉を発した生徒は顔面真っ青であった。
「何か言ったかしら?」
「な、何でもありません
「そう、空耳かしら」
「勿論、そうでございます」
緊張のあまり、正しい言葉遣いになっていなかった。
クリスティは悪口を言った生徒の顎を人差し指で軽く持ち上げると、満面の笑みを浮かべる。
その瞬間、周囲が凍りついたことは言うまでもない。
「いけないわよ。年上に、悪口を言ってわ」
浮かべたままの笑みを崩さず、クリスティは注意を促す逆に、それが恐ろしい雰囲気を生み出す。
注意された生徒は固まり、動けなくなってしまう。
まるで、全身を拘束されているようだ。
「聞きなさい。悪口は時として、身を滅ぼすわよ」
そう言うと、綺麗に整えられた爪で生徒の頬をこつく。
美しい女性にそのようなことをされたら大抵の男は落ちてしまうが、相手が悪かった。
クリスティという最強最悪の相手では、恋心さえ湧かない。
一部にはそこがいいという変わり者もいたりするが、全員が全員ラルフのように受身ではないので理解されない感情である。
よってクリスティのおかしな行動は、生徒の命を縮めていく。
「もし同じことを言ったら……こうよ」
こついていた指を今度は、首筋に持っていく。
続いてその指を水平に動かすと、命を貰うという意思を示した。
刹那、生徒は口から魂が抜けた生徒が倒れてしまう。
緊張が限界に達したのか、白目までむいていた。
その姿は、エイルに関節技をかけられた後のラルフのようであった。
だが、今回は違う。
やった相手とやられた相手が、異なるからだ。
気絶した生徒を助ける為に、数人の生徒が勇気を出しクリスティの前に出る。
そして制服を掴むと、ゆっくりと身体を引き摺っていった。


