「大方、栄養剤の与えすぎとか?」
「そんなことはない! 壁に、栄養剤を与える日を記した紙を張ってある。それに、分量は守っているぞ」
「別の要素とか?」
「それも考えられるな」
「なら、そうだよ」
壁にそのような物を貼っているということは、今回は真剣に育てているようだ。
それなら山百合の時もそのようにすればよかったと思ってしまうが、ラルフは一度失敗しないと学習しない。
しかし、それは特定の分野に限る。
つまり自分に関係ないものは学習しようとしないので、エイルに怒られるのは日常茶飯事。
最近では、関節技をかけられる回数が増えているらしい。
そして関節技の回数が増えようとも、ラルフはラルフのまま。
やはり、変わることはない。
「じゃあ、僕は行くよ」
「待って!」
「嫌だ!」
何事が起こったのかと心配してみれば、ラルフが育てている怪しく奇妙な植物の具合が悪い。
これ以上このやり取りに関わりたくないエイルは、ラルフが何かを言う前に断りの言葉を発する。
するとやはり何か頼みごとをしたかったらしく、悔しそうな表情を浮かべていた。
「何だよ、この手」
「いや、反射的で出てしまった」
「なら、行っても構わないよな」
邪魔をするラルフの手をどかすと、その場から立ち去ろうとする。
だが、再び手が邪魔をした。
流石に二回目となると、反射的という言葉は使えない。
意図的な行動にエイルは渋い表情を浮かべると、ラルフに詰め寄る。
「お前の騒ぎを起こした時、庇ってやったよな。今度は何をさせようっていうのかな、ラルフ君」
「エイルに、実験の手伝いをしてもらおうかと」
「ほー、見返りは?」
「キャシーちゃんをわけてあげる」
「長い付き合いだったな、ラルフ」
このような植物など、拝み倒されようが貰いたいとは思わない。
このキャシーと名付けられた植物。ラルフ以外が育てることは、絶対に不可能。
もし育てた場合、間違いなくおかしな進化を遂げてしまう。
そして最悪の場合、人間を食べるまで成長を遂げ地獄絵図となる。


