「エ、エイルは、どうしてその技を……ぐえ!」
「父から教わった。魔導師たる者、体術ぐらい使えないでどうするってね。お陰で、ラルフ相手に技をかけられる。うりゃ!」
その瞬間、何か鈍い音が聞こえた。
どうやら、何処かが折れたようだ。
その音を聞いたエイルはラルフに対しての関節技を止めると、立ち上がり白目をむいたラルフに視線を落とす。
「そういえば、君は研究会の生徒だよね」
「少し前まではそうでした」
「少し?」
「やめました。だって総帥がこのような人とは、思いもしませんから。何だか、幻滅しました」
「そ、そうなんだ」
「いけませんか?」
笑いながら話す新人君に、エイルは違う意味で恐ろしさを覚えた。
見切りが早いというべきか、敵に回したら危ないタイプである。
すると、白目をむいていたラルフが復活を遂げる。
人間とは思えない回復スピードに、エイルは再び容赦ない関節技の数々を披露していく。
「少しは、寝ていろ」
「だ、だって! 聞き捨てならぬ会話が」
「お前が、総帥だからいけないんだって」
「ち、違う。俺は、健全な気持ちで……」
「何が健全だ」
「ぎゃあああ!」
エイルの手によって海老反りになっているラルフは、思いっきり床を叩き開放してほしいと訴える。
しかし、エイルはやめようとはしない。
寧ろ楽しそうに、力を込めていくのだった。
「じゃあ、聞いてみよう。君が研究会をやめた理由は? この馬鹿の為に、簡単に説明をしてくれるかな」
「はい。魔導師に勝つのは無理だと思いましたから。現に、総帥はエイルさんに負けていますし」
「だってさ」
そう言うと、一気に力を込めた。
次の瞬間、暴れていたラルフの動きが止まった。
どうやら、二回目の昇天を果したようだ。
今度は白目ではなく、口が半開き。
多分、そこから魂が抜けているだろう。
こうなれば、少しは静かになる。
いや、ならないといけない。
ラルフが口を開いたら、何かと煩いからだ。


