「何をなさっているのですか?」
「薬を調合しているんだよ。まったく、何であいつの手伝いをしないといけないんだ。これは、あいつの仕事だ」
ブツブツと文句を言いながらも、手際良く作業を進めていくエイル。
その姿に、新人君は尊敬の眼差しを送ってしまう。
エイルは、多くの生徒から秀才と呼ばれている。
その人物を目の前にし、考え方に変化が生じた。
「エイルさん!」
突然自分の名前を呼ばれ、驚いたような表情を向ける。
すると其処には目を輝かせ、立ち尽くしている新人君の姿があった。
「どうしたの?」
「尊敬しています」
「はっ!?」
「この前の決闘の時、爽快にぶっ飛ばしたのが印象的でした。あのような光景、滅多に見られませんから」
自分が魔導研究会に所属していることを完全に忘れ、熱く語っていく新人君。
その熱弁に圧倒されるエイルは、静かに相手が喋り終わるのを待つ。
話の途中で加わる身振り手振りの動作が、実に大袈裟だった。
「エイル君、たっだいま」
軽いノリと共に、部屋に入ってきたのはラルフ。
そう、魔導研究会が総帥と呼んでいた人物とはラルフのことであった。
ラルフの視線が、新人君に向けられる。
見知らぬ生徒がいることに何かあったのかと首を傾げ、エイルに質問をするも明確な答えは返ってこなかった。
「貴方ですね。ラルフ・マルガリータ」
新人君が発した言葉に、エイルは思わず噴出してしまう。
ラルフ・マルガリータ――どうやら、育てている植物と混同しまっているようだ。
しかしエイルは、そのことを告げることはしない。
面白いと即座に判断し、ラルフに「いつ改名したのか」と、逆に質問していた。
「酷いよ。長い付き合いなのに」
「僕は、そんなに長いとは思っていないよ」
「そ、そんな」
「そんなことは置いといて、彼はラルフの客だよ」
「へぇ! えーっと、どのようなご用件で?」
滅多に訊ねてこない人物に、ラルフはどのように対応していいのかわからないようだ。
一応、決まり文句のようなことを言っておけばいいと判断したらしく、頭を掻きつつ用件を聞く。
すると新人君は身構え鋭い質問をぶつけるが、それは新しい爆笑を生み出すネタと化す。


