「で、では。いってきます」
「うむ。失礼がないように」
「……わかっています」
そう言い残すと、新人君は席を立つ。
そして、総帥の出没ポイントに向かった。
それにより、衝撃的な事実を知る。
昼休みということもあり、学園の中は賑やかだった。
人込みを避けつつ、新人君は総帥を捜す。
教えられたポイントは、調合などで使用される教室。
「何故、このような場所に――」新人君は、ますます総帥という人物に興味を抱く。
そして、必要以上の想像を働かせてしまう。
(きっと、勉強をなさっているんだ)
真面目に、予習復習をしている偉い生徒。
そう脳内でイメージを作り上げると、閉められた扉を開き教室の中に入っていく。
すると其処にいたのは、総帥ではなくエイルであった。
意外な人物に、新人君は大声を発してしまう。
その声にエイルは、反射的に振り返った。
「な、何?」
まさかエイルが総帥――
そのようなことを考えてしまうが、魔導研究会を完膚なきまでに叩きのめした人物なので総帥ではない。
新人君は思わず周囲を見てしまうが、それらしき人物はないなかった。
「誰か捜しているの?」
「ほ、他に誰かいませんか?」
明らかに、緊張している声音であった。
決闘の時に見せられた魔法に、身体が怯えているようだ。
もしここで機嫌を損ねたら、あのような魔法が飛んでくる。
そう思うと、同年代の相手に敬語を使ってしまう。
「いるよ。もう少しで、帰ってくると思うけど……あいつの行動は読めないから、期待はできないよ」
「そ、そうですか」
「何? あいつに用?」
「は、はい。ちょっと……」
「客人なんて、珍しいね」
不穏な態度を取る相手にエイルは訝しげな表情を作ってしまうが、特に質問はしなかった。
先程までエイルと一緒にいた人物は、おかしな横の繋がりを持っている。
その為どのような人物が訊ねてこようが、気にしてはいけない。
そもそも、疑問を持った時点で負けだ。


