ロスト・クロニクル~前編~


 その後、魔導研究会の面々は、数日間寝台から起きられなかったという。

 これも、回復魔法が深く関係していた。


◇◆◇◆◇◆


「か、会長!」

「何で、こうなるのですか」

「少しは、手加減を――」

 顔を青く染め、げっそりと痩せた生徒がある部屋に集まっていた。

 その者達は、あの魔導研究会。

 どうやら決起集会を開催しているようだが、顔色が優れないのは回復魔法の影響によるもの。

 失敗が連続しかなりの体力を絞り取られてしまったらしく、中には寝込んでいる者もいる。

「泣くな。相手が悪かった」

「そう仰いますが、悔しいです」

「そうですよ。今回は――」

「回復を専攻する生徒が来るとは、思いませんでしたよ。お陰で、同士が何人犠牲になったことか」

 その言葉に、全員が頷く。

 まさか一撃で勝負がつくとは、誰も思ってはいなかったようだ。

 しかし一度決まったことは、取り消しできない。

 そのことをわかっているので、このように集まり愚痴をこぼしていた。

「こうなったら、最終兵器を出すしかない」

「あ、あれですか!」

「そうだ、あれだ」

「とうとう、出すのですね」

「それしかないだろう」

 次の瞬間、集まった者達の目が光る。

 “あれ”というのは、まさに魔導研究会の切り札。

 これを登場させ負けるようなことがあれば、それこそ完全敗北。

 もう、後がないということだ。

「しかし、会長が負けたのですから……」

「新人君である君は、知らないのは無理でもない。あの最終兵器の威力を、甘く見てはいけない」

「そ、そんなに凄いのですか?」

 これまた、全員が頷く。

 その一糸乱れず行われた行動に、新人君と呼ばれた生徒の額から汗が流れ落ちた。

 この言葉が示すように最終兵器の“あれ”というものは、想像を絶する強さを持っていることになる。

 すると一人の生徒が“あれ”の問題点を淡々と言っていく。