今回の決闘は、エイルの勝利。
そう発表されると同時に、配当金が配られた。
「ふう、反省文で済めばいいけど」
これからについて考えていると、数人の生徒が此方に駆け寄って来る。
てっきり自分に用があると思っていたエイルであったが、横を通り過ぎ地面に倒れている研究会の生徒のもとに行ってしまった。
そして彼等の近くにしゃがみ込むと、何やら身体のチェックをはじめる。
「よし! いけるぞ」
その言葉に、残りの生徒が頷く。
次の瞬間、聞き覚えのある呪文を唱えはじめた。
あの呪文は、回復魔法。
呪文の内容に、エイルはこれから行おうとしている行動の意図を察した。
回復魔法を学ぶ上では己の身体を犠牲にするというのが一般的だが、今回の場合それを必要としなくても学ぶことができる。
だから魔導研究会の姿を見た瞬間、彼等の目は光り輝く。
呪文を掛けられる側にしてみたらいい迷惑なのだが、半分凍り付いている為に何も言えない。
彼等はそれをいいことに、呪文を使用していく。
それに相手が魔導研究会なので、容赦しない。
彼等が使用しているのは、一種の蘇生魔法。
蘇生と言っても、死者を復活させる魔法ではない。
気を失った人間の復活――簡単に説明すれば、そのような魔法である。
エイルはその場にしゃがみ込むと、彼等の行動を観察していく。
楽しいと思うのは魔導研究会に失礼だが、いい勉強になる。
そしてエイルは、救いの手を差し伸べようとはしない。
今までの恨みを彼等に晴らしてもらおうと考えているのか、徐々に口許が緩んでいく。
エイルの蓄積した恨みを晴らせると同時に、回復魔法の練習にもなる。
これほど素晴らしいことはなく、エイルは拍手を送った。
はじめて、魔導研究会が役立った。
その瞬間、エイルはほくそ笑んだ。
いや、それはエイルだけではない。
多くの生徒達が、彼と同じ反応を見せるだろう。
特に、研究会の面々に迷惑を被っている生徒なら尚更だ。
これにより、真っ当になることを期待する。
「おーい!」
その時、大声を張り上げながら一人の生徒が此方に近付いて来る。
その人物は、賭け事を主催していた生徒。
どうやら大儲けしたらしく、横からエイルに抱きついてきた。
その反動で二人は地面に倒れこみ、エイルは押し潰されるかたちになってしまい、正直気持ちが悪い。


