「できました!」
「おお、今度は美しい円だ」
完成した魔方陣は、先程とは違い素晴らしい完成度を誇っていた。
エイルは仕上がった魔方陣をチェックしていき、間違いがないか調べていく。
間違いがないことがわかるとエイルは笑みを漏らし、その出来栄えを称える。
「よし! 決闘再開だ」
「了解です」
その言葉に、愚痴をこぼしていた生徒達の目の色が変わる。
決闘再開ということは、賭けが成立するということ。
まだ賭け金の返却は行われていないので、あのオッズ表通りの配当が望める。
再び校庭に、異様なまでの活気が戻る。
決闘の再開に、口笛を鳴らす者や即興の応援歌を歌う生徒も現れた。
急遽告げられた中止に諦めて帰ってしまった生徒もいたが、その者達も慌てて帰ってくる。
「では、どうぞ!」
紳士的な態度に変化した研究会に、言葉を失う。
どうやらエイルが言った「暗い性格」というのを改めたようだ。
逆にそれが妙な違和感を生じさせているということを、彼等は気付いていない。
「会長、頑張って下さい」
「期待しています」
魔方陣の中に立っているだけで、どのように頑張るというのか。
心の中で突っ込みを入れつつ、エイルは研究会の面々と距離を取る。
これを決闘と呼んでいいものなのか。
ひとつの疑問は、更なる疑問を生み出す。
決闘というものはお互いが戦って成立するもであって、相手が何も攻撃してこない今回のこれは決闘とは呼ばない。
一種の実験――そう説明されれば、納得できる。
決闘という言葉を実験の手助けと勝手に脳内変更させたエイルは、魔法を使用する為に意識を集中させる。
その瞬間、周囲から雑音が消えた。
今はまだ、暑さが厳しい季節。
降り注ぐ日差しは肌を焼き、先程から喉が渇いて仕方がない。
このような中で涼しさが感じられたら、どんなに気持ちが良いだろうか。
そう思った瞬間、エイルが使用する魔法は決まった。
両手を胸元で組むと、祈るように呪文を唱えはじめた。
その姿に、魔方陣の中に立っている生徒が音を鳴らし、唾を飲み込む。
どうやら、エイルが魔法を使うことが恐ろしくて仕方がないらしい。
しかし、そのような行動を見せるのは仕方がない。
エイルが有する魔力は、折り紙つき。
それは魔法を教える教師達からも一目置かれるほどで、下手をすれば学園の一部を吹っ飛ばすほどの魔法を放つ。


