しかし、これには裏があった。
急いで修正し、決闘を再開する。
そして、問答無用に叩きのめす。
それが、エイルの計画であった。
流石にそのことを知らない研究会の面々は、エイルの説明を嬉しそうに聞きながら修正をはじめる。
後で、地獄が待っていることを知らず――
「何で、魔導師に勝負を挑むの?」
素朴な疑問であったが、これが物事の核心部分でもあった。
今まで魔導師相手に、何度も勝負し負けてきた魔導研究会。
諦めずに挑むということは、それなりの理由があるだろう。
そのことを知りたいエイルは、脅し半分で答えを引き出す。
すると相手はエイルを恐れ、素直に話しはじめた。
「……女性にもてたい」
「はあ?」
「女性にもてたいんだ」
真剣な表情で訴える姿に一瞬、固まってしまう。
だが、それを理解した同時にエイルは、腹を抱え笑い出す。
「女性にもてたい」という何とも現実的な悩みに笑ってはいけないとはわかっていても、なかなか笑いが止まらない。
エイルは大きく息を吸い呼吸を整えると、悩みを明かしてくれた生徒の肩を叩く。
「こんなことをしていたら、逆にもてないよ」
「そ、そうかな?」
「怪しすぎるからね。ほら、君達を見る視線が……」
その言葉に促されるように、観客がいる方に視線を走らせる。
すると、冷たい視線を向ける女子生徒の姿が目に入った。
そして研究会の生徒と目が合った瞬間、反射的に横を向かれる。
「ひ、酷い」
「今回で終わりして、普通の研究会としよう」
「そうすれば、もてるかな?」
「その暗い雰囲気も何とかしないと。あっ! そこ違う」
会話を進めている間も、エイルは指示を忘れない。
言葉で優しいことを言っていても内心は違う。
今までのストーカーのように付きまとわれたストレスを発散しなければ、研究会と和解できない。
「そこ、もっと詳しく描く」
「は、はい!」
「助かりましたね、会長」
テキパキと指示を出してくれるエイルに、完全に協力してくれると勘違いしてしまう。
裏の一面が表れていることを研究会の面々は知らない。
そして、最悪な悲劇が彼等を襲う――これこそ蛇の生殺し。
流石に命まで奪われることはないが、それに等しい行為が行われる。


