見守る生徒達のボルテージが上がる。
中には「金が掛かっている」と正直に叫ぶ生徒もおり、完璧に賭け事の道具だ。
それによりますますやる気が削がれてしまうが、一方の研究会はやる気であった。
リデルが知ったら、何と思うだろう。
彼女が在学していた当時は、このようなことは行われていなかったという。
だとすると、数年の間でメルダースの校風が変わったということになる。
どのような理由があったのか知りたいものだが、まずは目の前のことを片付けないといけない。
エイルは渋々ながら校庭の中心に向かった。
其処には、待ちくたびれた様子の魔導研究会の面々が立っていた。
戦う前から、士気が低下している。
それに全身を震わせへっぴり腰での構えは、何ともみっともないものがあった。
「よ、よく来たな」
「うん。来たよ」
お決まりの台詞に対して、何のひねりも感じられない言葉で返す。
流石にそう返されるとは思っていなかったらしく、研究会の面々は言葉を失い立ち尽くす。
どうやらこの状況に、エイルは半分やる気を失ったようだ。
「我々の悲願は……」
「僕を倒すことでしょ? なら、はじめようか」
「そ、そうだな」
緊張感の欠片も感じられない言葉に、本来は敵意むき出しの決闘が違う方向へと進もうとしていた。
エイルは片手を腰に当てると天を仰ぎ、研究会から攻撃を仕掛けて良いと促す。
「あれ? 攻撃しないの?」
「我々は、防御専門さ」
「僕から仕掛けないと、はじまらないということ? そういうことは、決闘の前に言ってほしかったな」
「うむ。すまない」
互いの間に、暫し沈黙が走る。
しかしそのように言われて「はい、そうですか」と、エイルは素直に従うことはできなかった。
魔法を使うには、それなりの準備は必要だ。
エイルは肩を落とし溜息をつくとどの魔法を使用するか考えはじめるが、なかなか適当な魔法が見つからない。
「ちょっと待った!」
その時、研究会の一人が大声を張り上げる。
何事が起こったのかと、一斉に視線が集まる。
すると声を張り上げた生徒がエイルと会話をしていた生徒に近付くと、小声で何やら会話をしはじめた。
徐々に、顔色が変わっていく。
明らかに、何か悪いことが起こったようだ。


