「学園長が、帰ってきたみたいだよ」
「嘘!」
仕事の関係上、学園長は半年の間学園を留守にしていた。
その間のことは教頭のジグレッドが取り仕切り、何ら問題は発生していない。
しかし学園長が帰宅した途端、事件が発生。
どうやら、事件を呼ぶ学園長のようだ。
だが、それは案外間違いではない。
「で、学園長が許可したんだ」
「あー、なるほど。納得したよ」
学園長の性格は、とてもわかり易い。
「楽しいのならいい」その言葉で説明がつく。
結果、教師の賭け事も許した。
もしかしたら、何処かで学園長が見ている可能性が考えられるのでエイルは周囲を確認する。
「じゃあ、オッズも学園長が」
「正解。よくわかったね」
「こんな常識外れのオッズを出すのは、学園長ぐらいだよ。で、無理矢理決定させたのも学園長」
「まあ、俺達の間では5対60だったけどね。でもオッズが上がったことにより、大穴狙いもできるってことさ」
こうなると、どっちもどっちというところか。
そう思い苦笑するエイルは、決闘の準備をはじめる。
といって、特にやることはない。
もしあるとしたら、どのような呪文を唱えるかを考えることぐらいだろう。
「あっ! 学園長」
「ど、どこだ!」
反射的に指が指し示された方向に振り向くが、何処にも学園長の姿はない。
次の瞬間、爆笑が響く。
その声に嘘だと気付いたエイルは、ムスっとした表情で嘘をついた生徒を睨んだ。
「本当に苦手だよな」
「あの人は、人間を超越しているから」
「年齢不詳だもんね」
「実年齢って、いくつなの?」
「さあ、昔からあの姿らしい」
「何だか、恐ろしいな」
様々な意見が飛び交う理由は、学園長の真の姿には不明な点が多すぎた。
それに現学園長の席に座っている人物は、メルダース創立当時から変わっていないのだ。
ジル・クリスティという名前の学園長。
彼女は数百年生き続けているという、本当に人間なのか怪しい存在。


