ロスト・クロニクル~前編~


 そして、舞台は学園の中へ移る。


◇◆◇◆◇◆


 そんなことがあったことを知らないエイルは、ラルフと食堂で昼食を取っていた。

 相変わらすエイルに対しての過剰なサービスは続き、テーブルにはずらりと食べ物が並んでいた。

 今回も、全て食べるのはエイルではない。

 並べられた食べ物の大半は、ラルフの胃袋に収まることとなる。

 その光景を、一人の生徒が観察をしていた。

 この生徒こそ、ハリスから逃げ出した集団の一人であった。

「いいよなー。サービスしてもらって」

 と言いつつも、情報収集という役目は忘れていない。

 ポケットからペンと紙を取り出すと、事細かに行動を書き記していく。

 その内容の一部には愚痴が籠められていたが、やはり羨ましいようだ。

「えーっと、年上に人気と」

 そう書き記した瞬間、ある光景を目撃する。

 それは、エイルの周辺に大勢の生徒が集まってきたのだ。

 集まってきた生徒と楽しく会話をはじめるエイル。どうやら年上だけでなく、同年代にも人気があるようだ。

 「友人が多い」と書いた瞬間、盛大な溜息が漏れる。

 魔導研究会に所属している生徒に共通していること。

 それは「友人が少ない」ということで、多くの友人に囲まれることに憧れがあった。

「いいなー。魔法の才能の他に、人気があって。俺なんて、毎日が寂しい。友達、いないし」

 相手の弱点を見つけるどころか、逆にその凄さを目の当たりにする。

 もしかして「勝負をする前から負けている」と思ってしまうが、ここはプラス思考を働かせ何とか乗り切ることにした。

「あの中に入りたいな」

 乗り切ったつもりであったが、本音には寂しさが滲み出る。

 しかし、彼等は知らない。

 魔導研究会に所属している間は、決して友人ができないことを。

 それだけこの研究会は嫌われている。

 〈魔導研究会〉は、かなり有名な研究会であった。

 何故これほどまで有名かというと、やっている内容が内容であったからだ。

 優秀な魔法の使い手と評判の生徒を見つけては勝負を挑むが、今もって連戦連敗。

 毎回、見事なやられっぷりを多くの生徒の前で披露する。

 何でも「魔法を防ぐ方法の開発」ということを行っているらしいが、研究テーマは素晴らしいが行っている生徒の方に問題があった。