「す、凄い」
「侮れませんな」
「うむ。流石、我等がターゲットにしている人物。まさに、敵としては申し分のない相手だ」
「口では、勝てそうにないですね」
「それを言うな」
この者達もエイルの毒舌っぷりには勝てないと思っているらしく、誰一人として反論を述べることはしなかった。
「しかし、口で勝つのではありません」
「そうだ。勝負は魔法である」
「魔法も強力ですよ」
その一言に、沈黙が走る。
口でも魔法でも勝てないとなると、何をどのようにすればいいのか答えに詰まる。
しかし、彼等は一度決めたことは実行をする。
そう、エイルという生徒に勝つ為に。
「めげるな! 素晴らしい明日の為だ」
「それには、敵を知らないといけません」
「素行調査ですね」
「うむ。皆の者、わかっているな」
「了解です。弱点を見つけたら、報告ですよね。会長の為に、ありとあらゆる情報を手に入れてきます」
「頼もしい言葉だ。期待している」
その言葉に全員が頷くと、一斉に立ち上がる。
次の瞬間、老人の怒鳴り声が響いた。
その声の主は、庭師のハリス。
手には断ち切りバサミが握られ、どうやら植物の世話をしていたようだ。
「わしの大事な植物に、何をしている」
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。
だが周囲を確認すると、綺麗に切りそろえられていた植木の一部を折ってしまっていたことが判明する。
その光景に、彼等の顔が青く変化していく。
ハリスにとって、植物は命の次に大事なもの。
それをこのような姿にしてしまったとなると、恐ろしい結末が待っている。
説教で済まされればいいが、ハリスはジグレッドのように優しくはない。
「す、すみません!」
彼等は、蜘蛛の子を散らしたかのように、一斉に逃げ出した。
ハリスに捕まったらどのようなことが待っているか、皆わかっていたからだ。
全力疾走で逃げている生徒達に、ハリスは断ち切りバサミを振り上げつつ二度とこのようなことをしないように告げたのだった。


