「はい……エイル君」
「有難う。まあ、敬語に関してはリデルの特徴だし……さっきも、敬語になっていたから。直らないようだし」
「す、すみません」
「ほら、また」
「努力……する?」
「無理しなくていいよ。それに、思えばリデルらしいし。うん。敬語に関してはいいよ。いずれ、僕が敬語を使わないといけない時が来るから。そう、親衛隊の一員になったらリデルが上だよ。さて、洗濯に行かないと。結構、洗濯物が溜まっているんだ。夏は特に多い」
「その洗濯ですが、もう一度言います。私も、お手伝いします。これが、今の本音です。それに。仕事に関してはご安心を。暫くの間は、メルダースに残る予定となっていますので。それにクローディアには、優秀な人物が残っています。暫く私がいなくても、仕事に関しては大丈夫です」
「そのように言うのなら、断れないな。それなら、ジグレッド教頭に言わないと。他人に手伝わせてどうする! と、言われそうだから。何だかんだで、厳しい人物だし。怒られたくはない」
「相変わらずの、頑固爺さんのようで」
「頑固?」
真面目な表情で話すリデルに、エイルは噴出してしまう。
今の台詞は、真面目な顔で言うような言葉ではない。何事も真剣に捉えてしまうのが、リデルの悪い癖。
いや、これは良い部分とも言うべか。
一方エイルが噴出した意味がわからないリデルは、キョトンっとしていた。
「何か、おかしなことを言いましたか?」
「真面目な表情で言う台詞かなって、思ったんだよ。それにリデルの口から、そういう言葉が出るとは思わなくて。本当に、リデルって真面目だ。ああ、そうだ。ジグレッド教頭への言い訳はどうしようか。こういうのは、普段から言い訳を考えているラルフなら得意なんだろうけど」
所構わず実験を行ない、調合した薬品を爆発させているラルフ。
それに伴い、言い訳を繰り返すのは日常茶飯事。
それにより学園長やジグレッド、それにその他の教職員からも目を付けられている。
最近は怒られる前から言い訳を考えているらしいが、ひとつふたつわけてほしいと思ってしまう。
その時、クスクスという笑い声がエイルの耳に届く。
その声の主はリデルで、彼女は口許に手を当て笑っていたのだ。
美しいという言葉が似合うリデル。
そんな彼女の笑い顔は、一言で言えば綺麗だった。
これで誰とも付き合っていないのだから、それはそれで驚きである。


