その時、自分の服を洗濯するという大事なことを思い出す。
ジグレッドやリデルと話していたのでどれくらい時間が経過しているのかわからないが、シーツが乾く前に洗濯を終えないといけない。
エイルは急いで部屋の隅に置かれている汚れ物をかき集めると、シーツを洗濯した場所へ向かった。
◇◆◇◆◇◆
途中、ジグレッドとの会話を終えたリデルと出くわす。
互いに足を止めると、顔を見合す。
すると一瞬、リデルが戸惑いの表情を見せる。
しかしすぐに普段の優しい表情に戻ると、深々と頭を垂れた。
「話、終わったんだ」
「はい。ところで、何処へ行かれるのです? そのような物を大量に抱えまして、何かあったのですか?」
「いや、洗濯だよ。最近していなかったからね」
「そのようなことをなさらなくても。フレイ様が知ったら、何と申すでしょうか。仕送りが足りないのでしたら、私から……」
「大丈夫。仕送りは足りている。ただ、勉強の方に使ってしまって。お陰で、金欠になってしまった。だから、リデルがこのようなことを頼まなくていいよ。それに、仕事が忙しいだろ?」
リデルの心遣いに、エイルは頭を振る。
そもそも、其処までしてもらう理由がない。
また、リデルに金銭面で頼ったことをフレイが知ったら何を言われるか。
彼の言葉にリデルは不満そうであったが「エイルが、そのように言うのだから」と自分に言い聞かせ、納得する。
すると今度は別の意味で、エイルを困らせる。
彼女が申し出たのは、一緒に洗濯をするというものだった。
勿論、これに関してもエイルは断る。
何故なら、洗濯の時に考え事をしたいと思っていたから。
「リデルだって、何か用事があってメルダースに来たんだろう? なら、その仕事をこなさないといけないよ。だから、これ以上の迷惑を掛けられない。いや、選ばないことが迷惑か……」
「……いえ」
彼女が置かれている立場は、痛いほどわかっている。
わかっているからこそ、彼女の行動に違和感を覚える。
リデルの性格というのは、第一に相手のことを気遣い自分が思うことを隠す。
親衛隊の副隊長という立場がそうさせているのだが、エイルは堅苦しい態度は嫌いだ。
だからメルダースに来た時くらいは、普通に接し欲しいと願う。
今のままでは、互いの間に高い壁が存在する。


