「その方は、教頭先生の部屋でお待ちよ」
「わかりました。ところで、セリア先生。その客人の性別と外見は、どのようなものでしたか?」
「まだ、若い女性だったわ。それに、綺麗な銀髪をしていたわね。とても美しい方だったわ」
セリアが挙げる特徴に、思い当たる人物が一人だけいた。
その人物とは、ジグレッドより手渡された手紙の差出人。
何故、彼女がメルダースに――滅多に訪れることのない人物の登場に、エイルは動揺を隠しきれずにいた。
それだけその人物の登場は意外で、滅多にない。
「そう……ですか」
「あまり待たせると、失礼よ」
「はい」
セリアに返事を返すと同時に、エイルは校舎の中へ向かう。
その時、自分が裸足であることに気付いたエイルは、急いで自分の靴を取りに行くとそれを持ちつつ裸足のまま校舎の中へ急いだ。
その光景の一部始終を見ていたセリアはクスっと笑みを浮かべると、その場から立ち去った。
◇◆◇◆◇◆
ペタペタと音を鳴らし、エイルは客人が待つジグレッドの私室へ小走りで向かう。
夏だというのに石で造られた廊下は冷たく、気持ちがいい。
しかし、裸足のままでジグレッドの私室に入ることはできないので、エイルは素足に付いた埃を丁寧に叩き落とすと持っていた靴を履く。
次に洗濯の邪魔ということで捲り上げていたズボンを下ろすと、制服の汚れを念入りにチェックしていく。
一応、汚れた箇所はないが、念の為ということで制服を叩き綺麗に装う。
準備が整うと扉を叩き、ジグレッドからの返事を待つ。
数秒後、ジグレッドからの返事が返って来た。
その言葉を聞いたエイルは「失礼します」という言葉と共に、入室することにした。
「お呼びですか?」
「うむ。其処に、座るといい」
「はい」
ジグレッドが手招きし、長椅子に腰掛けるように促してくる。
ジグレッドの言葉に従う形でエイルは長椅子に腰掛けると、自分の目の前にいる人物に視線を向ける。
やはり、予想は正しかった。
懐かしい人物の対面に心が躍るが、エイルは無言を続ける。
すると、相手の方が口を開いた。


