精霊の謳姫



”その目で自分のいる世界を見定める”。


この旅の目的。
自分の役目。

ノヴァは以前、それが私がこの旅で為すべきことだと旅を始めた時に言った。
といっても、それはあくまで私に課された課題であり、本旨はノヴァが遠く北にいるとある人物へと任された用を果たすことにある、らしいのだが…


「とある人物って結局誰なのかしら…?」


北は標高が高く、とても寒いところだと聞く。
そんな所に住んでいるなんて、一体ミロスとどんな関係のある人物なのか気になるところだが、ノヴァは『さぁね』の一点張りで教えてはくれなかった。
彼は肝心なことはいつも教えてくれない。


(あぁ、アレンなら何か話してくれるかも。
明日聞いてみようかな…)


結局共に赴くことになるのだから、いずれ知ることになるとは分かっていても気になるものは仕方ない。

それに答えのない自分の課題を考えるよりは、そちらの方が幾分気楽に思考出来た。

静かに見下ろす月を眺めながら、取り留めのないことをぼんやりと考えているとそのまま底の見えない湖を思わせる夜空に飲み込まれてしまいそうな錯覚を覚える。


静寂が満ちる夜の空気も、一層冷んやりとしてきた。


「父さまは…どんなお考えでいらっしゃるの…?」


私はこの旅の先に何を見るのか。
どんな答えなら正解なのか。

願わくば、父さまに頼って貰えるような立派な王女になって国に帰りたい。


そしてどうかその眼で…___


___成長した自分を認めてもらいたい。



思考の渦に身を任せて、ぼんやりと月に思いを重ねる。

そろそろ床につこうかと開いた窓に手をかけた、その時_____